
生活習慣病の治療や予防に取り組んでいる方は「動脈硬化」という言葉を聞いたことがあるかと思います。
動脈硬化とは、動脈の弾力や柔軟性が失われて硬くなってしまった状態を指します。
動脈硬化が進行すると、血の巡りが悪くなって血管に負担をかけたり、心臓に大きな負担がかかり、重大な病気の原因となったりと、さまざまなリスクがあります。
そんな動脈硬化について、今回は基本的な情報から治療方法、予防方法までを皆様にお伝えしようと思います。
自分ではなかなか気付けない?動脈硬化の症状
動脈硬化は、多くの生活習慣病と同じように無症状で進行するという特徴があります。
進行すると、血管が硬くなって内腔が狭くなり、少しずつ血流が悪くなっていきます。
その結果、脳や心臓などさまざまな臓器に負担がかかり、大きな病気を引き起こす原因となります。
以下では動脈硬化によって虚血(血液が十分に供給されず、酸素や栄養素が不足している状態)が発生した場合のリスクについて紹介します。
脳で発生した虚血
脳に酸素や栄養素が行き渡らないと、取り返しのつかない事態になりかねません。
いわゆる脳梗塞の状態であり、体の麻痺が出てきたり、意識を失ったりすることがあります。
心臓で発生した虚血
心臓での虚血は、狭心症や心筋梗塞の状態です。
症状としては、胸に強い痛みがあらわれます。
脳の虚血同様、一刻を争う事態です。速やかに医療機関を受診しましょう。
下肢で発生した虚血虚
足の虚血は、歩行時に足の痛みが現れることが特徴です。
進行すると徐々に痛みが悪化し、最終的には立つことも歩くことも困難になっていきます。
放置すると、下肢切断や命の危険にもつながります。
動脈硬化を引き起こす5つの原因
動脈硬化は、生活習慣病と切っても切り離せない病気です。
動脈硬化は多くの生活習慣病が原因となって起こり、悪化していきます。
高血圧症
高血圧症とは、常に血管に強い圧力がかかっている状態を指します。
内皮細胞の傷を修復しようとすることで血液中の細胞が集まり、その部分にからコレステロールも取り込まれてしまい、最終的に動脈硬化を引き起こします。
脂質異常症
脂質異常症は、食生活の乱れなどによって血液中の脂質が増え、血液がドロドロになってしまう生活習慣病の一つです。
ドロドロの血液が血管に詰まり、動脈硬化が進行します。
喫煙習慣
喫煙は、百害あって一利なしと言われるほど、体にさまざまな悪影響を及ぼします。
血液を固まりやすくすることで血管が詰まりやすくなってしまい、動脈硬化を引き起こす可能性もあります。
一説によると1日20本以上の喫煙で、心臓病を発症するリスク50~60%も高くなると言われています。
肥満
肥満は、体にとって大きな負担となります。
血液中の脂質が多い状態で、高血圧や脂質異常症を引き起こす可能性があり、結果として動脈硬化の発症リスクも高まります。
糖尿病
高血糖の状態が続くと、血管の内皮細胞が破壊されていきます。
傷ついた内皮細胞の傷を修復しようとして血液中の細胞が集まると、その部分からコレステロールが取り込まれ、動脈硬化のリスクを高めてしまいます。
こんな方は動脈硬化に要注意!
動脈硬化は、誰にでも可能性のある疾患です。
特に以下の内容に当てはまる方は動脈硬化のリスクが高いため、早めに改善に取り組んでいきましょう。
食生活が乱れがち
暴飲暴食や早食い、食事バランスの乱れは肥満の原因の一つです。
特に動物性脂肪や糖質を好む方は注意が必要です。
運動不足になっている
運動不足は、あらゆる生活習慣病のリスクを高めると言われています。
有酸素運動が少ないと、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ってしまうため、余ったエネルギーが脂肪となって蓄積していきます。
不規則な生活が続いている
実は、睡眠不足にも動脈硬化を引き起こす可能性があります。
寝る時間がバラバラだったり、なかなか寝付けなかったりする方は注意が必要です。
喫煙習慣
喫煙の習慣がある方はそうでない方に比べてLDLコレステロールや中性脂肪の値が高い傾向にあります。
その結果、動脈硬化を引き起こしやすい体の状態になっているため要注意です。
その他、動脈硬化のリスクとなるもの
・生活習慣病に罹患している方
・肥満を指摘された方、内臓脂肪が多い方
・ストレスが多く、発散が足りていない方
・過度の飲酒習慣がある方
・40歳以上の方
・狭心症、心筋梗塞、脳卒中を患った親族がいる方
・睡眠時無呼吸症候群など睡眠障害を抱えている方
など
胃動脈硬化の治療方法
動脈硬化の治療は、食事療法と運動療法がメインとなります。
患者様に合わせてさまざまな生活習慣の改善を行いながら、必要に応じてお薬を使用していきます。
食事療法
動物性脂肪やアルコールなど、動脈硬化のリスクが高い食品は控え、栄養バランスの整った食生活を意識することが大切です。
食事を見直すことで、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病も改善することができます。
運動療法
運動する習慣がない方は、ぜひ運動療法に取り組んでいきましょう。
ウォーキングやジョギング、スイミングなどの有酸素運動がおすすめです。
毎日少しずつ習慣化することで、動脈硬化のリスクを軽減することができます。
薬物療法
動脈硬化は、薬を飲むだけで治るものではありません。
お薬は、食事療法や運動療法をしばらく継続しても十分な効果が得られない場合に用いるようになります。
動脈硬化を予防・改善するためには?

動脈硬化の予防には、生活習慣の改善が大前提となります。
適度な運動によって肥満の解消やストレス発散を目指すこと、栄養バランスの取れた食事で糖尿病や脂質異常症を解消し、免疫アップにつなげることが大切です。
また、飲酒や喫煙の習慣がある方は、少しずつ減らしていくようにしましょう。