
「動悸」とは、心臓の拍動がドキドキと強く感じられる状態を指します。
動悸の中にも種類があり、心拍が遅くなる徐脈、早くなる頻脈、心拍が大きい、強い、脈が飛ぶ、乱れるといった症状(不整脈)があります。
重大な病気によって動悸が起こっているケースもありますが、健康な方が一時的な不調によって起こるケースもあるため、動悸=重大な病気とも言い切れません。
とはいえ、不快感を覚える症状であることには変わりないため、動悸がするようになったら一度検査を受けてみることをおすすめします。
「動悸がする」という状態はなぜ起こる?
動悸は、普段の生活の中で起こることも珍しくありません。
具体的には以下のようなシーンでみられる症状です。
運動後や緊張で起こるもの
激しい運動をしたときや緊張状態の動悸は、誰もが経験したことがあるでしょう。
マラソンの後に心臓がバクバクする感覚、緊張して胸がドキドキする感覚も動悸の一種です。
こうした原因で起こる動悸は、体を休めたり緊張が解けたりすると次第に収まっていきます。
これらの原因以外で動悸がない場合には、受診の必要はありません。
カフェイン・アルコールによるもの
お酒を飲むと動悸がする、コーヒーやエナジードリンクを飲むと動悸を感じやすくなる、当方も一定数いらっしゃいます。
こうした原因で起こる動悸も、病的なものではありませんので基本的に心配は不要です。
とはいえ、体にとっては負担がかかってしまうので、カフェインやアルコールは適量に留めておきましょう。
何らかの疾患によるもの
冠動脈の疾患がある方、甲状腺機能亢進症を患っている方、更年期障害の方、精神疾患の方などは、動悸を感じやすくなります。
原因となる病気に対して適切な治療を続けていくことで、動悸の症状も出にくくなるでしょう。
薬の副作用によるもの
持病の治療で、血管を拡張するお薬や、副交感神経を弱めるお薬などを服用している方は、動悸を感じることがあります。
いわゆる薬の副作用なので、何らかの処置が必要ということはありません。
ただし、動悸がひどくて日常生活に支障が出ている場合などは医師に相談の上、お薬の変更なども検討してもらうようにしましょう。
動悸が起こった際に注意する症状
運動後や緊張する場面で急な動悸が起こるのは、ある意味正常な動作です。
体を休めて緊張から解放されたときに動悸が消えるようであれば、特に心配はいりません。
一方で、安静にしている時に急な動悸が起こったり、それに伴い他の症状がでたりする場合には何らかの病気のサインであることも考えらえます。
具体的には、以下のような症状が併発する場合には注意が必要です。
- 胸や背中の痛みがある
- 冷や汗が出る
- 吐き気、嘔吐を伴う
- めまい、ふらつきが起こる
- 息切れや息苦しさを感じる
- 意識が遠のく感覚がある、失神
- 血圧の低下
など
特に、強い胸の痛みや嘔吐、意識障害といった症状を併発している場合には、緊急外来の受診も検討する必要があります。
動悸を引き起こす疾患とは?
ここからは、「治療が必要なケースの動悸」を紹介します。
治療が必要なケースとはつまり、動悸の原因が何らかの病気であるという場合です。
狭心症・心筋梗塞
冠動脈が細くなったり詰まりかけたりする病気を狭心症といいます。
そして、狭心症が悪化して冠動脈が閉塞してしまう病気を心筋梗塞といいます。
これらの病気は、動悸と合わせて胸の痛みや圧迫感、息苦しさ、呼吸困難、失神といった症状が出るのが特徴です。
心筋梗塞は最悪の場合、命を落とすこともあるため早急な治療が必要不可欠です。
不整脈
脈拍が早くなったり遅くなったり不規則になったりすることを指します。
息切れや胸の不快感、吐き気、冷や汗などを伴うことがあり、重症化すると意識低下などの症状を伴うこともあります。
早めに治療を行うことができれば、通常通りの生活が送れます。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺機能亢進症は、甲状腺からのホルモンの分泌が過剰になる病気です。
動悸のほかに倦怠感、手足のしびれ、体重減少、多汗、気分障害などの症状を伴います。
貧血
貧血は、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンが少なくなることで、全身で酸素が不足した状態です。めまいや立ちくらみ、頭痛、動悸などの症状を伴います。
健康状態に問題がないと思っている方が実は「隠れ貧血」だった、ということも多くあるため注意が必要です。
精神疾患
不安障害やうつ病、適応障害などの精神疾患では、感情の変化やお薬の副作用で動悸が起こるケースがあります。
精神疾患は画一的な治療では改善が難しく、患者様一人ひとりに合わせたカウンセリングや薬物療法が必要になります。
動悸を改善するための治療方法とは?
動悸を感じたら、まずは楽な姿勢で安静にするようにしてください。
ゆっくりと深呼吸をして呼吸を落ち着かせ、動悸が治まるまでリラックス状態を維持します。
強い動悸が30分以上続く場合には、救急車を呼んでも構いません。
すべての動悸に治療が必要になるわけではありませんが、原因がわからないままいつ動悸がくるか不安を抱えている状態は、精神的にも負担になってしまうと思います。
まずはクリニックで相談をしてみて、必要に応じて治療を行うようにしましょう。
不整脈を原因とする動悸の場合は、以下のような治療を行います。
薬物療法
心臓からの異常な電気信号を抑えるお薬、心拍の増加を抑制するお薬など、さまざまな種類から患者様に適したものを用いて治療を行います。
手術
不整脈がひどい場合には、ペースメーカーやICDといった専用の装置を埋め込む手術を行います。
また、患者様の状態によっては、心房の壁を切除して痙攣を抑制するメイズ手術という方法も採用されます
クリニック情報

はたにクリニックは、内科・循環器内科・心臓リハビリテーションに対応しています。
これまで通院しておられた患者様、須磨区周辺にお住まいの方々の健康向上をサポートし、
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